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俳句のテーマ

「富士山」

入賞作品発表

最優秀作品賞

1名様 国産黒毛和牛ロース塊肉1kg 入賞作品入り特製トロフィー

富士山測候所雲より夏のにほひかな 天野姫城 40代
夏井いつき先生

夏井いつき先生 評
気象観測のため剣ヶ峰に置かれた「富士山測候所」は2004年にその役目を終え閉鎖されました。現在は自動気象観測装置による気象観測を行っているようです。かつて測候所に勤務した職員が記した日々の記録『カンテラ日誌』の存在にも大いに俳人心をくすぐられました。作者は「富士山測候所」のあった地に立っているのでしょうか。それとも雲がかかった富士山を見上げているのでしょうか。眼下に雲海を眺めているのか。雲の覆っているあたりには「富士山測候所」があったはずだと見上げているのか。科学的には「夏のにほひ」というものは存在しないでしょうが、俳人のセンサーは、「富士山測候所」のあった地に、あるいは力強い富士の山容に「夏のにほひ」を感じ取ります。「雲」の存在に「夏のにほひ」を感じ取り、それを肺いっぱいに吸い込む。夏の富士山の勢いを瑞々しく切り取った作品です。

優秀賞

2名様 国産黒毛和牛ロース塊肉1kg 入賞作品入り特製トロフィー

富士山の輪郭太い冬田かな 島立文具店 50代
夏井いつき先生

夏井いつき先生 評
冬田に立って富士山を眺める。その輪郭が太い。ただそれだけの句なのですが、何故こうもリアリティがあるのでしょう。ひとつの理由は、中七です。「輪郭太い」という率直に呟いたような口語の言い切り。後に続く文語の詠嘆「冬田かな」に合わせるなら「太し」と文語にすべきでしょうが、あえて口語の形になっていることで、この一語が作者の日常からこぼれた言葉であると推察できます。素朴な呟きは素朴な賛辞となり、今日の「富士山」を喜びます。蕭条と広がる「冬田」の中に作者の確かな存在を感じる一句です。

留学す眼下に富士を笑はせて  久我恒子 50代
夏井いつき先生

夏井いつき先生 評
機長のアナウンスが「眼下」に「富士」が見えてくることを告げたのでしょうか。飛行機の窓から見下ろす富士山。さて、この句の季語は?と眺めてみると、春の季語「山笑う」をアレンジしたものだと気づきます。「富士を笑はせて」は使役。富士に笑うという動作をさせるという意味になります。まだ頂に雪を残している「富士」に向かって、春だぞ、さあ起きて笑えよ、と呼びかけているかのような一句。その弾む心は、まさに上五の「留学す」で読み取れます。日本の象徴たる山の姿を眼に刻みつつ、心は異国へと飛ぶ春です。

奨励賞

20名様 米久商品詰め合わせ

  • 獅子舞の富士を幾度も噛みにけり akiki 50代

    夏井先生 評

    富士山の見える地域にお住まいの方はお正月にはこんな光景に出会うのかもしれません。遠くに小さく見える「富士」の姿を、獅子舞の噛み鳴らす歯が何度も噛んでいるかのようだよ、という遠近感の愉快。「獅子舞」が動きを伴って鮮やかです。

  • 薄氷の富士の青さに壊れけり  ぐ 30代

    夏井先生 評

    「薄氷」は「うすらい」と読む春の季語。文字通り、薄く張った氷のことです。「富士」のあまりの「青さ」によって「薄氷」が壊れてしまったかのようだ、という一句。早春の冷たい空気の中で透明感を増してくるかのような、眼前の「薄氷」と遠景の「富士」です。

  • 日向ぼこ金剛杖を乾拭きす あゆか 30代

    夏井先生 評

    修験者や巡礼者の持つ「金剛杖」。今は単純に登山のために用いることもありますが、信仰の対象として愛されてきた「富士」を思えば、本来の「金剛杖」として味わいたいところ。僅かな冬の日向を憩いつつ、山へ出かける春を心待ちにします。

  • 多国語飛び交う 溽暑の吉田ルート行く カリャビンカ

    夏井先生 評

    「吉田ルート」は富士山の北側から山頂を目指す、多くの登山客が利用する山梨県側からのルートです。観光客に賑わう登山道を飛び交う「多国語」。耳に弾ける聞き慣れない異国語の礫を振り払うように、溽暑の吉田ルートに歩みを進めます。

  • 芙蓉峰俺はいじけているだけだ まことちゃん元気 60代

    夏井先生 評

    富士山の雅称である「芙蓉峰」。もちろん山を指す言葉ではあるのですが、一句の上五に登場すると植物の「芙蓉」の姿も同時に連想します。大輪の鮮やかな芙蓉も、雅やかな富士山も堂々としているが、俺はここでいじけているよ…なんて、切ない自己客観。

  • 花冷の西臼塚や富士はすぐそこ ようこうよ 50代

    夏井先生 評

    富士山には多くの側火山があり、西臼塚はその一つのようです。落葉樹の森が広がる「西臼塚」。散策を楽しむには丁度良い花冷の時期です。「富士はすぐそこ」と親しい隣人のように富士山を捉えている視線も独特で優しい一句。

  • 富士山に一礼し去る夏休み 遠藤幸子 40代

    夏井先生 評

    夏休みの思い出に訪れた富士山。充実した登山への感謝の気持ちからでしょうか。あるいは当分訪れることができなくなるからこその感慨でもあるのか。深々と「一礼」する所作に山への敬意と感謝がこもります。去る作者を富士山が静かに見送ります。

  • オリオンは富士に座す星とこしえに 海老名吟 20代

    夏井先生 評

    真夜の富士は、昼とは違った表情を見せてくれます。夜闇にそびえる真っ黒な輪郭。空と接する境から現れる無数の星が富士を彩ります。冬の夜空、オリオンは富士に座すごとく輝いています。星の普遍と富士の普遍。「とこしえ」が両者を繋いで美しい。

  • 九年間富士置く窓や卒業す 金子加行 60代

    夏井先生 評

    富士の見える地域で暮らす方にとっては、窓から見える富士の姿は慣れ親しんだもの。小学校六年間と中学校三年間。九年間を過ごした学び舎からはいつも「富士」が見えた。いよいよこの「窓」を離れてしまうのだという思いが、下五「卒業す」に籠もります。

  • 春の富士退部届の膨らみぬ A 10代

    夏井先生 評

    新しい学年の始まった春。富士山も春の装いに色づく頃、学校という社会には様々な変化が訪れます。受験やその他の理由のために部活を辞めなければいけない場面もあるでしょう。「退部届の膨らみぬ」は確かな描写の言葉であると共に、作者の心を代弁します。

  • 亀鳴くや十万年の富士のこゑ 幸七 60代

    夏井先生 評

    春になって、なにか耳にじーっと音が聞こえるような感じがする。「亀鳴く」は俳人好みの情緒的な季語ですが、あの音の正体は「十万年の富士のこゑ」だと語られると妙に納得します。「十万年」が富士の時間的雄大さを伝えてお見事!

  • 富士山に風花日和ありにけり 坂三 60代

    夏井先生 評

    「○○日和」という表現にはしばしばお目にかかりますが、「風花日和」とはまた美しい!晴れた日の雄大な「富士山」。そこにちらちらと降りかかる「風花」。そんな光景を生んだ今日という「日和」への賛美の心を伝えて下五が滋味深い一句です。

  • ぐんぐんと富士近づきて帰省せり 松山園 50代

    夏井先生 評

    「ぐんぐんと」の躍動感にリアリティがあります。飛行機でしょうか、電車でしょうか。あっという間にその姿を大きくしていく「富士」。この光景を見ると故郷に帰ってきたんだな、という気がするのでしょう。夏の青む富士が力強く「帰省」を待ち構えます。

  • 黒南風や富士は湿土の匂ひして 蒼介 40代

    夏井先生 評

    雨の多い梅雨時。湿った「黒南風」が富士に吹き寄せてきます。山へと踏み入れれば、濃い「湿土の匂ひ」。肌へ触れる空気の温度や湿度を伝えて「黒南風」に確たる実感があります。五感に季語を感じつつ、一歩ずつ歩みを進めていきます。

  • 富士へ子を担ぎ上げたり里神楽 富山の玉露 50代

    夏井先生 評

    神社で舞われる奉納の「里神楽」。神と人が共に過ごす儀式の中で、一人の子が富士へと担ぎ上げられます。高くなった子の視界に映る里神楽の灯、集う多くの人々、そして富士の山。「里神楽」ならではの光景が「富士」を背後に繰り広げられます。

  • 富士からの春の風吸う豚の鼻 北野きのこ 30代

    夏井先生 評

    言葉の展開の面白い一句です。雄大な「富士」の姿から始まり、そこから吹いてくる風。まるで一筋の風が正しい道順でもあるかのように吹き、吸い込まれていく先が「豚の鼻」であるよ、という愉快。桃色の鼻面と大きな暗い鼻腔の映像が見えてくるのも可笑しい。

  • 初富士に会えた東京モノレール 堀 卓 40代

    夏井先生 評

    その年初めて出会う富士山の姿を「初富士」と呼びます。こんな季語が生まれることからも、日本人が古くからこの気高い山を愛してきた事実が察せられます。現代的な「東京モノレール」と口語の語りが「初富士」への率直な喜びを伝えてます。

  • 品川を発てば富士なり大夕焼 油揚げ多喰身 30代

    夏井先生 評

    東京都品川区。私たちも東京への出張の際にはよく利用する駅です。東京での用事を済ませ、さあ品川を発つぞ、と動き出してみれば、やがて目に入ってくるのは夕焼けに照らされた富士山の姿。遠くの山の姿を飲み込んで「大夕焼」が目に鮮烈です。

  • 右ほほに廻すキャラメル富士登山 鶴女(つるじょ) 60代

    夏井先生 評

    長い長い「富士登山」。登りきるには多大なエネルギーを費やします。糖分補給に口に放り込んだ一粒の「キャラメル」。甘さを楽しみながら、右の頬に含んでくるくると廻します。「登山」という季語の現場に立った実感を舌と口の感触が伝えます。

  • 受験票胸に車窓の富士はるか  Rx(アール・エックス) 20代

    夏井先生 評

    「受験」が春の季語。「受験票」を「胸に」抱いてと読むのが妥当でしょう。東京の大学を受験する生徒を思いました。お天気のよい日、東京の「車窓」に見る「富士」を想像したのは「はるか」の一語の効果でしょうか。「胸に」の緊張感も伝わってくる一句です。